2024年9月21日(土)
奥入瀬サミット2024 セミナー②「自分らしく輝く人生のターニングポイント」 自信持って夢に進んで/並木 里也子さん
私はものづくり企業の3代目。学生時代は幼稚園の先生を志していましたが、スノーボードの全日本選手権優勝というタイトルを取ったことがきっかけでアスリートの道へ進みます。ワールドカップを転戦し、結婚を機にカリフォルニアへ。その後上海、日本、スイスと、世界中で3人の子どもたちを育ててきました。
アスリートではありましたが、実は子どもの頃は走るのが遅く、逆上がりもできないほど運動が苦手でした。しかし、祖父と父の影響で、私自身も2歳からスキーに親しんでいました。そして高校時代、父が買ってきたスノーボードにのめり込みます。こつこつ練習していたらレベルが少しずつ上がって、気付いた時には舞台が世界に広がっていたのです。
さて、私が社長を務めるオーブレーは祖父が1939年に並木製作所として設立した会社で、現在は工業用宝石、小型モーター、光通信部品、医療装置の製造・販売を担っています。東京に本社を置き、国内工場は黒石市と秋田県湯沢市、横手市。そしてタイ、シンガポール、アメリカ、ドイツにも拠点があります。
当社ならではの技術の一つに、匠の技を持つ職人が手作業でダイヤモンドを削って仕上げるレコード針があります。このような日本の素晴らしいものづくりを多くの皆さんに伝えたいと思い、湯沢市の旧TDK工場に昨年、当社の針でレコードを流すカフェを併設した・魅せる工場・をオープンしました。
しかし製造業はいまだに女性が少ない業界。それを変えていきたいと考え私が手掛けたのは、工場で働く女性従業員を対象にしたライフセミナーでした。国内外で活躍する女性たちによる講演やグループワークを通し、全員が本来の自分を知り、他人と対話して認められることで自己肯定感を育み、自分らしく輝くための生き方を学びました。
子どもの頃は夢に向かって真っすぐに取り組んできたのに、大人になるにつれて周りを気にして諦めてしまい、モチベーションを失ってしまう人は少なくありません。自分に自信がない。他人に遠慮したり我慢してしまったりする。私は、これらを打破していくことは誰もができると信じています。いくつになっても、目標や夢に向かって進みましょう。
最後に私のターニングポイントを紹介します。まずは全日本優勝。これは私が初めて取った1等賞でした。母は「運動が苦手な青少年に夢を与える存在になれるから頑張りなさい」と、アスリートへの道を後押ししてくれました。
次は家業を継いだこと。スイスで暮らしていた頃に一時帰国した時、会社が経営危機に陥り、社員の心も離れているのが分かりました。このままでは技術が失われてしまうことに危機感を抱き「父に物が言えるのも、中から改造できるのも、血筋を受け継いでいる私しかいない」と決断しました。ビジネス経験はありませんでしたが、とにかくやるしかないと。今でも日々勉強を続けています。
そして来年、私は子どもと一緒に秋田に移住し、再来年には本社も秋田に移す予定です。東北から世界へつながるものづくり。その道筋を作っていくことを、今から楽しみにしています。